onodesign’s diary

建築家 小野喜規のブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

中庭を望む窓辺

今年の最後に、川口市ですすめてきた住宅が完成しました。 完成といっても、まだ少し残りの工事もありますが、引っ越し前のつかの間、できあがった空間を独り占め(笑) この住宅は駅近くの雑踏のなかに建ちます。すぐ傍を通る電車の音が時折ゴォーッと響き…

紅葉の一日に

晩秋の一日に、「富士のふたつの家」を訪れました。 家ができあがってから8年半、庭木も大きくなって家と一体となった雰囲気です。 秋に訪れたことがなかったので、紅葉を見るのはこの時が初めてでした。 住宅なのだけれども、ちょっとリゾートに来たような…

ヒュッゲ

年末もいよいよ押しせまってきました。忙しくはあるのだけれど、その合間にコーヒーを飲んでほっと一息つく時間は、この時期ならではの、じんわりとほっこりする気分に満たされます。 デンマーク語に「ヒュッゲ Hygge」という言葉があるそうです。日本語に直…

冬の色

冬にしか表れない色があると思います。 写真は京都・桂離宮。 冬だけに訪れる独特の寂びた色合いを見ていると、心が静かになって落ち着いてきます。 北大路魯山人のいう「枯淡・無名色」というのは、こんな感じのことを指すのでしょうか。 塗料の色見本帳に…

リスボンの石ころ

もう10年以上前に旅行したリスボンの街。ノスタルジックな雰囲気の漂う街だったけれど、それからずいぶんと時間が経って、記憶のなかで明滅する風景を思い返すのも、またいいものです。 リスボンの道には、白い舗石が敷き詰められていて、それが踏まれて角が…

引きたてる色

川口で進行中のM's ark の工事もいよいよ大詰め。内装も徐々に仕上がってきました。 写真のリビングは、タモ材を用いた造作が見ごたえのある空間になりました。 タモ材のもつ色味や風合いを引き立てるように、壁や天井の色をどのようにするかを、いろいろと…

秋は静かに・・・

「自由が丘の家」のダイニングの窓。細長い窓なのだけれど、ちいさな中庭に面していています。 パノラマに景色が広がる大きな窓もいいけれど、そっと小さな窓にも、特有の風情があります。 寒暖差を繰り返しながら徐々にジューンベリーの葉っぱが紅葉してい…

ちょっとこもる場所

家のなかに、自分ひとりだけがすっぽり入るぐらいの、ほんの小さなスペースがあるのは、なんだかとても楽しいものです。 「奥沢の家」では、夫婦それぞれにそんなスペースがあります。リビングの続きにあるこのスペースは、ちょっとしたデスクコーナーになっ…

fragments

ローマのとある教会。ローマの街なかは騒々しく、車も多く喧噪に満ちているのだけれど、こうした教会の中に入ると、ドア1枚で区切られているだけなのに静けさがあります。 珍しく内装が白い教会。その分、窓は小さくても明るい空間でした。 壁には、石に掘ら…

茶室

これまでの仕事で、何度か茶室の設計をしたことがありました。 もともと茶室建築には興味がありましたから、京都の大徳寺によく見学に出かけました。 茶室の空間は、決まり事が多いようでいて、意外に自由なもの。そんなこともだんだんとわかってきます。 で…

朝、出かける時。

日々の暮らしのなかのあたりまえのことを、楽しむ。そんな感覚が芽生えたら素敵だなと思います。 朝、出掛ける時に靴を履きながら過ごすちょっとした時間。 玄関の地窓から緑が見えて、朝日に照らされた樹影が室内の壁に映り込んで、ゆらめいている。 心のな…

障子のある室内

写真は、「片倉の家」の室内。天井は徐々に下がってきて、窓辺の天井高さは約180センチほどの、背丈よりも少し高いくらいに抑制されています。 それが、何か包み込まれるような居心地の良さをつくりだしてくれます。 無垢のブラックチェリーの床板に、ペンキ…

丸い扉

家を訪問した際に、印象に残るシーンは何かしらあるものだと思いますが、「桜坂の家」では、不思議なことに多くの方に言われるのが「丸い扉」のこと。 リビングに白い大きな壁があって、その中に突然、その「丸い扉」はあります。 黒い和紙が貼ってあって、…

スケッチ

エクスナレッジ刊「建築知識」10月号は、パース・スケッチの特集。僕も編集協力させていただき、何点か手描きスケッチを掲載いただいています。 特に住宅設計では、CGよりも手描きのスケッチの方が雰囲気やニュアンスが伝わりやすいように思います。 手描…

夏の終わり

涼しくなったり暑くなったりを繰り返しながら、徐々に夏が終わっていきます。 写真は自由が丘のアトリエ 打合せルームの出窓の光景。 西に面して、午後の強い陽射しに照らされて、ロールスクリーンに映り込む木陰が燃え盛るよう。

吉村障子のある家

福島市ですすめてきた住宅がいよいよ完成となり、お引渡しをしてきました。 約100坪のゆったりとした敷地に、南面して大きな窓があります。 その全面に障子を建て込む設計にしました。 障子の枠と桟が同じ寸法の、いわゆる「吉村障子」。これは、障子が何枚…

始まった新しい暮らし

「わらびの家」ができあがってから、あっという間に1ヵ月。 暮らし始めてからのご様子をうかがってきました。 家具や道具、小物が置かれ、やっぱり家は生活がはじまってからが生き生きとするなあとあらためて思いました。 ダイニングテーブルなど、まだ仮の…

持ち歩くもの

打合せや現場への移動は電車を利用することが多いのですが、その日の打合せ内容のことをいろいろ考えながらの移動になるので、あまり小難しい本を読む気分にはなりません。 かといって、スマホを眺め続けるのも気が進まず、手元にあるちょっとした本を持ち歩…

ボッロミーニという人

17世紀のローマに、フランチェスコ・ボッロミーニという建築家がいました。 ルネサンス時代の後に現れた、過剰な造形のバロックという様式時代。 ボッロミーニは建築一本の人でした。作品数は多くなく、その作品の造形密度から察するに、ひとつひとつの仕事…

サンタサビーナ

眼も眩むような暑い陽射しの屋外から、室内にはいったとたんに訪れる陰りと静寂。そんな空間体験があると思います。 かつて、暑いローマのサンタサビーナ聖堂でも、そんな体験をしました。 ローマでも最も古い聖堂ですが、空間造形が古拙である分、どすんと…

特等席のキッチン

先日、打合せにお見えになった建て主の方が離されていたのですが、京都の桂離宮に行かれておもしろい印象をもたれたとのこと。 たとえば、通常はウラ方になるようなものが、わざわざオモテから見えるようになっている、というようなことなどです。 「かまど…

夏の日の引き渡し

暑い夏の日、蕨市ですすめてきた住宅を引き渡しました。本当に、終わるのが名残惜しくなるような素晴らしい現場でした。 どちらかというと小住宅の規模ですが、ぎゅっと思いが詰まった密度の高い仕事となりました。 皆で作り上げた作品。そんなふうに呼びた…

WEBマガジン掲載

僕のアトリエ兼住居「自由が丘のアトリエ」のことをWEBマガジンで掲載していただきました。 「暮らしとおしゃれの編集室」というサイトです。以下のリンクからページを閲覧できます。 http://kurashi-to-oshare.jp/life/73937/ 心地よい窓辺がある家として取…

玄関のドア

玄関は明るいほうがいい。クライアントと新しい家について打ち合わせをしていると、そのような要望を受けることも多いものです。 もちろんそのような話が挙がるのは自然なことなのですが、ではそれをどのように実現するか、というのは意外に難しいものです。…

井戸のある中庭

「古河の家」は完成して半年ほど経ち、植栽も次第に植わってきています。点検を兼ねて様子をみに伺い、生活が徐々にかたちづくられてきているのをみてとても嬉しく思いました。 家ができあがってから、既に何人もの来客があったそうで、多くの方が、真新しい…

雰囲気をつくるもの

前回につづき、わらびの家の現場から。 木製窓に徐々にガラスが入り、造り付け家具が据えられ、タイルが仕上げられてきました。 長く続いた大工さんの作業が終わり、一気に仕上げに向けて現場は動き出します。 木製の窓越しに見えるモミジの枝葉は、隣に建つ…

もうすぐ完成!

蕨市で建てている住宅の足場が外され、全貌が見えました。グレージュの落ち着いた外観。 防火規制のかかる都会の真ん中ですが、防火ラインを避けながら設計し、木製の窓が実現できました。 これからウォルナット色に防腐着色され、内外ともに落ち着いた雰囲…

地域につながる

住宅の建てられる環境はさまざまで、風景がひろがっている環境もあれば、周りを建物で囲まれているような環境もあります。 どのような土地であっても、その環境のもつ特徴をよく観察して引き出していきたいものだと思います。 富士市に建つ「大きな出窓の家…

雨の家

東京も梅雨入りし、窓の外からは雨音が響くようになってきました。 雨も、しとしとと降るのは風情があってよいなと思います。 そういえば、建築関連の雑誌では、雨の写真はあまり見かけることがありません。 以前に雑誌の編集者に、雨の特集とかないんですか…

前川秀樹さんの彫刻

ある建て主の方との打ち合わせの際に雑談で、彫刻家の前川秀樹さんの個展に行った時の話をお聞きしました。 神秘的な作風の作家で、ちょうど在廊されていた作家本人に会った印象など、いろいろな興味深いお話でした。 僕が初めて前川秀樹さんの作品のことを…