年始にNHKで「AKIRA」を放映していました。1980年代後半の傑作アニメ映画。近未来の退廃したイメージの美学に貫かれ、あらゆるものが影響を受けたように思います。 ぼくが建築学生として過ごした1990年代後半は、まさに世紀末でした。AKIRAが上映されたバブ…
写真は、年末年始のアトリエ。休業中にエントランスのガラス窓にスクリーンを下ろすと、古いモミジの樹影が映り込みます。ふだんは枝葉が窓越しによく見えますが、こんなふうに包まれたような雰囲気になるのも、ちょっと気に入っています。 このモミジはもう…
年末にTAKU SOMETANI GALLERYで開催中の画家 田沼利規さんの個展を訪問しました。 田沼さんの作品は版画であったり油彩であったり様々ですが、キャンバスなどの画布の存在を消し去り、絵のイメージだけを宙吊りにするような画風が独特です。額縁も無く、壁か…
山中湖畔の森の奥にある、不思議な家。 そのなかに、不思議なかたちをした壁の穴があります。 なんだか、森の精霊が通った跡のような。 その奥には仄暗く、小さな部屋が潜んでいます。 身をかがめて部屋に入ると、床が一段低くなっていて、天井も低くて包ま…
先日、自作について話をする機会がありました。どのようなことを話そうかと思いを巡らせながら自作を振り返る時間は、これまでどのようなことに関心をもち、どのようにそれを活かしてきたのかを再確認する機会にもなりました。 建築のアカデミーのなかで流布…
28年前の今ごろ、学生時代にスペインを旅しました。卒業論文でサグラダファミリア教会の柱のナゾをテーマにしていたので、ぜひ本物を見たいという思いがつよかったのです。 90年代後期のバルセロナの街では煙草の匂いと喧騒がものすごく、気圧されるよう…
高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したピアニスト、アンドラーシュ・シフが来日しました。その受賞記念の会見で、心に残る言葉を残しています。 「芸術はエンターテインメントではありません。より深い次元があります」 そして、こんなふうにも語ります。 「音…
家のまわりにぐるりと回廊のめぐる家。回廊には屋根がかかり、緑に面しています。木陰が床にゆらめいているのを眺めながら、奥へと誘われる雰囲気があります。 愛犬家のMさんの家づくりでは、犬との過ごし方も打ち合わせの大事なテーマとなりました。雨の日…
You Tubeのルームツアー動画として有名なチャンネル「Cozy Houses inJAPAN」で、鎌倉 山ノ内の家 を取り上げていただき公開されています。夏の庭と光が印象的な映像と、ゆったりとしたBGM。この家のもつゆったりとした時間を美しく編集していただき、嬉しく…
暑いさなか、庭のブルーベリーがきれいに色づきました。 たわわに実ったブルーベリーを摘んで、冷やしてからプレーンヨーグルトに入れて、即興ブルーベリーヨーグルトの出来上がり。 市販のブルーベリーヨーグルトとはちがって、どこか酸味もある程よい甘さ…
クラシックな趣の家を。そんなイメージをクライアントと共有しながらできあがった家のワンシーン。 クラシックといってもいろいろあるけれど、なんとなく共通しているのは、木部が濃く深い色だということでしょうか。 本来はだんだんと木部の色がくすんで古…
建物の外観を、姿かたちではなく、「質感」として捉えることに関心をもっています。 そのキッカケは、展覧会でジョルジョ・モランディの絵を見たことでした。 モランディは静謐な画風の静物画が有名ですが、風景画も多く、それらは写実的ではなく、印象とし…
古い洋館には、アーチの列柱がある回廊をよく見かけます。 そこには丸いガラスのライトが吊ってあって、それがまわりをぼんやりと照らしているような光景。 そんなクラシックなイメージを、家の中でつくりたいと思いました。 リビングの奥にある、アーチと列…
「桜坂の家」は、ぼくが独立して設計をてがけた最初の家です。 ちょうどその頃、私淑している建築家ルイス・バラガンの著作を眺めていました。 そのなかに、昼寝ができる空間の心地よさについて書いてあって、それがなんだかとても印象に残っていたのです。 …
建築家として登録しているザ・ハウスの新企画「あのメディアに掲載された建物について聞いてみた!」の第一回目として、「大磯の家」を取り上げていただきました。 『シンプルに暮らす小さな家(エクスナレッジ)』の本表紙になったU様邸について登録建築家…
ぼくが大学1年生のときに、必修科目で物理学の講座がありました。 教授は大槻義彦先生。当時、「火の玉教授」というニックネームでよくテレビにも出演されていた有名人でした。 テレビのなかの先生と同じように、授業も面白くて物理学に関心がわく内容でし…
古いミシンがあるんです。 建て主のHさんから見せていただいた写真には、今ではもう作られることのないレトロなミシンが写っていました。 今ではもう手にはいらないもの。 この家は、祖父の思い出が残る古い家の建て替えでした。 家は新しくなるけれど、祖父…
4月ですね。ぼくが大学を卒業して企業に就職したのは1999年。建築デザインの潮流にもなんとなく世紀末感が表れていた頃だったと思います。 ぼくが就職したのは組織設計事務所とよばれる大手の設計事務所で、大規模なビルや公共建築などの設計を手掛ける会社…
設計した住宅ができあがると、いつも自分で写真を撮りに行きます。そのときにいつも連れていく「相棒」のような存在があります。 それがこの額縁の写真。 グルジアの画家ニコ・ピロスマニが暮らした家にある、テーブルと椅子の写真。 暗い画面のなかに、使い…
目黒区ですすめてきた住宅ができあがり、引き渡しを迎えました。 この家には大きな「吉村障子」があります。 吉村障子とは、多くの名建築を残した建築家・吉村順三が考案した障子のデザインのことです。 障子のマス目の桟がすべて同じ寸法でできているので、…
3月11日。 14年前のこの日を境に、ぼくにとっても少しずつ建築への向き合い方が変わったように思います。 カタチをつくることそのものよりも、居場所をつくること。そんなことをより意識するようになりました。 大磯の家。 ダイニングの大きな窓からは、自ら…
北茨城の自然豊かな山あいの土地に建てる、新しい家の計画。 まわりを見渡せば、長きにわたって手入れされてきた実家の庭があり、その一方で、海の方につながっていく風景の広がりがあります。 そのような自然豊かな環境を目の前にすると、新しい家ではある…
最近、取り組んでいる実施設計が佳境になって大忙し。 作業的にどんどんとこなしていければよいのですが、デザインの肝になるところはしばし沈思黙考。 そんなふうにして時間がかかってしまいます。 たとえば写真の部屋の窓の位置や大きさを考えていたときの…
旅行で訪れるとある街で、心惹かれる場所は少なからず、ちょっと古びたレトロ感ある場所。 時間を味方につけて古色を帯びた物や場所には、不思議と気持ちが動きます。 なんだかほっこり安心感があるのでしょうか。 たんに古ければ何でもいいということではあ…
八王子でつくってきた住宅が、もうすぐ引き渡しをむかえます。 建て主のKさんとお話しながら思い浮かべていたのは、小さくて居心地のよい小屋のような雰囲気の家のことでした。 素朴で、ちょっとレトロな感じの素材感。 おおらかな壁や屋根に守られて、 窓…
あけましておめでとうございます。 今年も新たにいくつかの住宅ができあがる予定ですが、いつも家づくりの根本に据えているのが、「窓辺を楽しく美しく」ということ。 でも、その設計手法にルールがあるわけではありません。ロケーションや間取りによっても…
ぼくが建築家を志したキッカケは、写真家 田沼武能の作品集「カタルニア・ロマネスク」との出会いでした。 スペインのカタルニア地方に散在するロマネスク様式の古い礼拝堂と、それらの礼拝堂を中心に生きる集落の人々を写した写真集です。 以来、この写真集…
エクスナレッジから、ぼくのアトリエで設計した住宅2題を特集いただいた本「シンプルに暮らす小さな家」が出版されました。 そして、表紙にもしていただきました。 取り上げていただいた住宅は「大磯の平屋」と「透かし庭の家」です。 ロケーションも家族構…
八王子で建てている小さな家。真四角の間取りのシンプルな家です。 コストも考慮しながら、必要なだけの広さにとどめながらも、暮らしに必要な収納などは、建物と一体となるようにデザインし、工事で造りました。 家一軒まるごと、大工さんひとりで造る。手…
このブログにたびたび登場するオディロン・ルドンの絵画。 19世紀後半から20世紀初旬にかけて生きた画家ルドンには、以前からずっと憧れをもっていました。 ぼく自身が、20世紀末に多感な時期を過ごし、「世紀末芸術」に深い関心があったことも、関係…