onodesign’s diary

建築家 小野喜規のブログ

2012-01-01から1年間の記事一覧

進行中のプロジェクト

今年から来年にかけて、いくつかの住宅の設計を終え、工事が始まります。それらの仕事のご紹介をしたいと思います。 上の写真は、東京・南馬込に建つ2世帯住宅。ふたつの世帯が左右に並んで住まうかたちで、2軒の家があわさったような木造3階建ての計画で…

冬の朝のできごと

朝起きて、リビングの窓から窓の外をふと見ると、ある光景に目がとまりました。庭に置かれている信楽焼きの鉢のなかの水がキュッと寒さで凍って、白い花が氷のなかでとても鮮やかに見えたのでした。これだけ朝も冷え込むと、たしかに屋外の水が凍るのも不思…

小さな工房

今年の春先に、イタリアのフィレンツェを旅しました。旧市街に残るルネサンス期の建物が、いまだに現役で使われていることにびっくりしました。14,5世紀につくられたそれらの建物は、傷んだところは修理され、風化もしていますがそれが独特の味わいになっ…

オンブラ・マイ・フ

うまく言えませんが、ただ聴いているだけで泣きそうになってしまう曲というのがあると思います。僕にとってのそんな曲のひとつが、ヘンデルによる作曲「オンブラ・マイ・フ」。この美しい小品は、オペラのなかで歌われるのはもちろん、チェロによる演奏も胸…

自由が丘のアトリエ

「自由が丘の家」に、アトリエと住居を増築する工事が始まりました。 既存の樹木をよけるようにして配置した、凹凸のある不思議な形のプランで、家全体が奥に細長く続きます。それぞれのスペースから見える外の景色に合わせて、窓のデザインを決めていきまし…

坪庭の記憶

「東山の家」のお引渡しから一年が経ち、一年点検に伺った折、最近仕上がったという坪庭のしつらえを拝見することができました。 この住宅は鉄筋コンクリート造なので、2階に小さいながらも坪庭を設け、専用の防水措置を施したうえで土を入れ、庭としての風…

詩仙堂の床の間

京都に詩仙堂というお寺があります。お寺とはいっても、もともとは住宅として使われていた遺構で、明るく居心地の良い空間が、東山の懐にあります。 月が綺麗に見えるように、との配慮からといわれていますが、居間の間取りはジグザグと曲がっていて、そこか…

祝! フェンシング団体銀メダル!!

こんなことは想像だにしていなかった!日本人のフェンシング選手がオリンピックでメダリストとなり、テレビで試合を放映され、新聞の一面に「フェンシング」の文字が躍るなんて!!・・・というのは北京オリンピックの時の話。そして今回のロンドン五輪でも…

手描きのスケッチ

いま、いくつかの住宅の設計の仕事をすすめています。設計がはじまってから、片時も離さないのが、ロール状のトレーシングペーパーと鉛筆です。このロール状のトレーシングペーパーは、僕の師匠がずっと愛用していたもので、僕も自然と手元に置くようになり…

フェルメール

フェルメールの絵が2点、東京にやってきていますね。作品数の極めて少ない画家だけに、企画・交渉に4年ほど費やした・・・という話などを聞くと、とても貴重な機会なのだと思います。数年前にフェルメールの作品の展覧会があったときは、それこそ黒山の人…

自転車事情

車のスタイルや色にお国柄が表れるのと同じように、自転車にもお国柄のようなものが表れるように思います。 最初にそれを実感したのは、1992年の中国・北京。都市風景が大きく変貌する直前の当時の北京には、ものすごい数の自転車が溢れていました。印象…

石元さんの桂

ずっと行きたいと思っていた、神奈川県立近代美術館での企画展「石元泰博写真展 ~桂離宮1953,1954~」に、会期ギリギリの昨日、行くことができました。 雨。しかも横なぐり。まるでシャワーのようだ。そんな日に鎌倉に来たのは初めてですが、桂離宮は、妙に…

富士へ

1年前にお引渡しした住宅の一年点検が続きます。先日は、富士へ。もう何十回も通っているにもかかわらず、なんといまだ2,3度しか富士山の全景を拝めていないのです。そして案の定、今回も薄曇りの日でしたが、5月の心地よい季節、「富士のふたつの家」を…

実現しなかった案へのレクイエム。

最近、いくつかの住宅の設計を並行してすすめているのですが、そのうちのひとつが、「自由が丘の家」の増築です。僕の家族の住居と設計アトリエを併設する計画です。ぼんやりと頭で思い描き始めてから、はや数年。後回しにしながら時間がかかり、結果的にい…

月見台の家.6 ~一年点検~

「月見台の家」ができあがってから1年が経ち、定期点検にお伺いしました。この住宅には、敷地の南北にふたつの庭が計画されていて、それらに包まれるようにしてリビングがあります。ですので、この一年の間に植えられた草木の雰囲気がどのようになっているか…

手ざわりのある家

画家ジョージア・オキーフの晩年の生活を記録し、エッセイとして綴った写真集があります。そのなかで、晩年のオキーフは徐々に視力が弱くなり、だんだんと、ものを「見る」よりも、ものの「手ざわり」を慈しむようになった、ということが書かれていました。…

ギャラリー

施主であり画家のYさんからご案内をいただき、国立新美術館で開かれている春陽展にいきました。この展覧会を観るのは今年でもう数回目。Yさんの作品はもちろんのこと、他の方の作品も作風もどこかに記憶に残っていて、あ、今年はこんな雰囲気の作品になった…

ちいさなもののひろがり

先日、機会があって、待庵の写しとしてつくられた茶室に伺いました。待庵というのは、千利休がつくったとされる、現存する唯一の茶室で、京都・大山崎の妙喜庵というお寺のなかにあります。二畳台目という極めて小さな茶室である待庵は国宝ゆえ、にじり口か…

初節句

昨年末に生まれた甥っ子に贈られた、端午の節句の兜飾り。とても小さなものなのだけれど、隅々まで丁寧につくられています。ちょいとつまんでしまえるほど小さいのだけれど、丁寧に手をかけてつくられたものは、そうはさせないオーラというのか、迫力のよう…

ちょうどいい眺め

京都市とイタリアのフィレンツェとは、姉妹都市として提携して、50年近くになるそうです。ともに歴史文化の深い街ですが、いろいろな面で似ているな、と思うところがあります。 まず、街の中をゆったりと流れる川、鴨川とアルノ川は、どちらも川辺が心地よ…

ウンブリア

僕が村田靖夫さんの事務所に勤めていた時に担当した、ある住宅に久しぶりにお伺いしました。この住宅のことは以前に2008年12月20日のブログでも書いたことがあります。 年配のご夫妻が暮らす、静かな家。リビングに大きく開けられた窓は中庭に面し、この10…

雪の日

今年は東京でもよく雪が降りますね。子供の頃は無邪気に喜んでいたけれど、大人になって仕事をし始めると、いろいろなことが気にかかるものです。 それでも、雪化粧された風景はいつもと違って新鮮です。そんな気持ちとともに、なぜだか、師匠の村田靖夫さん…

ドア

ベルリンの、ある教会の入口。大きな扉が半分開いていました。人を迎えようとするのでもなく、かといって謝絶するのでもない、微妙な開き具合。小さな子が、なんとなく興味を惹かれつつも入りにくい気持ちもわかります(笑) 子供からすると、異様に大きな扉…

ルドンのこと

丸の内の三菱一号館美術館で開催中の、「ルドンとその周辺」展に行きました。数年前に観たルドン展では、リトグラフでの制作にスポットをあてた、いわば白黒だけの作品を集めたものでした。 笑う蜘蛛。宙を漂う眼球。奇妙な生物。安定を欠いた空間。19世紀…

京都さんぽ.14 ~俵屋 その一~

京都に「俵屋旅館」という老舗旅館があって、宿泊する機会がありました。今日の東京のように、そそと雨の降る夏の日。 良い建築というのは、晴れた日よりもむしろ、雨の日にその魅力が増してくるように思います。雨の俵屋は、そのことをあらためて感じさせて…

植栽の打ち合わせ

植栽の打ち合わせのため、仙台に建つ「青葉の家」を訪れました。この家はまだ先月に竣工し、引渡しをしたばかりで、植栽もまだこれからでしたので、造園家を交えて打ち合わせをすることになっていました。 駅を降りると、仙台は小雪がちらついていました。現…

マルノウチ

庭に面した、居心地の良いカフェ・レストラン。ここは「丸の内ブリックスクエア」と「三菱一号館美術館」に囲まれた「一号館広場」。近年の再開発によって生まれたスペースです。 丸の内は再開発による整備で、オフィス街としてだけでなくショッピングエリア…

シャルロット・ペリアンの展覧会

鎌倉県立近代美術館・鎌倉館で開催されていたシャルロット・ペリアン展に行きました。 鶴岡八幡宮境内にあるこの美術館。初詣に訪れた人でごった返すなか、すぐ傍らにある美術館のあたりは人気も比較的すくなく、静かな雰囲気でした。時おり陽がさす程度の曇…

コンフォルト

明けましておめでとうございます。本年もブログにお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします。 さて、雑誌「コンフォルト」最新号に、「東山の家」のことを取り上げていただきました。新年最初の号の特集は、「日本の美しいもの」。茶室について…